事業主貸(資本の部) – 勘定科目・仕訳例

事業主貸(じぎょうぬしかし)は、個人事業主が事業用の資産をポケットマネーにした場合に計上します。また、所得税住民税罰金など必要経費とならないものを事業用資産から支払った場合にも使用します。

この仕訳は法人は使用しません。法人が役員等に対してポケットマネーを支給した場合、返済の合意がある場合は短期貸付金・長期貸付金(資産)扱いとなり、返済の合意がない場合は給与(費用)扱いとなります。

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目次

詳細

事業主借と事業主貸の違い

事業主借と事業主貸は、事業側の視点で考えるとわかりやすいでしょう。

個人事業主から借りた場合は事業主借で、個人事業主に貸した場合は事業主貸となります。

事業主借と事業主貸画像

所得税・住民税を事業用の現金・預金で支払った場合

事業所得では所得税と住民税は必要経費にならないので、事業主のポケットマネーで支払うか、事業用の現預金で支払った場合は事業主貸で計上します。

第45条(家事関連費等の必要経費不算入等)
居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない
二 所得税(〜後略)
四 地方税法(昭和25年法律第226号)の規定による道府県民税及び市町村民税(都民税及び特別区民税を含む。)

罰金・科料(かりょう)・過料(かりょう/あやまちりょう)等も同様に、事業資金で負担した場合は事業主貸勘定で仕訳します。

第45条(家事関連費等の必要経費不算入等)
六 罰金及び科料(中略)並びに過料

ポイントは、必要経費で落ちないものを事業資金で支払った場合に用いるということです。

年度が終わると残高0円になる

事業主貸勘定は延々と増え続ける訳ではなく、翌年度の期首に元入金(資本)勘定にまとめられて残高が0円となります。

翌年度元入金 = 元入金 + 事業主借 – 事業主貸 + 青色申告特別控除前所得金額

期中に事業主借(資本)勘定と相殺して残高を減らす方法もありますが、特に意味はありません。

仕訳例

▼生活費として使うために事業用に管理している普通預金口座から3万円出金した。

借方科目 貸方科目
事業主貸 30,000円 普通預金 30,000円

▼商品を29,800円で販売し、受け取った現金を生活費にするために財布に入れた。

借方科目 貸方科目
事業主貸 29,800円 売上高 29,800円

▼事業用に管理している普通預金口座から所得税30万円が引き落とされた。

借方科目 貸方科目
事業主貸 300,000円 普通預金 300,000円

▼住民税10万円の納付書が届いたので事業資金(現金)を使って納付した。

借方科目 貸方科目
事業主貸 100,000円 現金 100,000円

▼事業主借50,000円と事業主貸50,000円を相殺した。

借方科目 貸方科目
事業主借 50,000円 事業主貸 50,000円
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