仕入高(売上原価) – 勘定科目・仕訳例

仕入高(しいれだか)は、販売目的で購入した商品や製品の代金を費用として計上します。

自社で消費する事務用品・パソコン等は消耗品費(販管費)等で処理します。また、仕入高は売り上げた商品・製品に相当する仕入れ分のみを計上しますので、期末に売れ残った商品分の仕入額は商品(棚卸資産)勘定に振り替えて資産計上し、損金に計上しないようにします。

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詳細

期末に在庫が残った場合

仕入高勘定は税務申告において損金算入で処理されますが、期末に売れ残った商品の仕入れ代金も仕入高として計上したままになると、売上に対応した仕入額(売上原価)を適切に計上していないことになります。極論を言うと、利益を全て仕入れにつぎ込めば売上に対してかかる法人税等の税金を支払わなくて良いことになります。

もちろんこういった処理は脱税になりますので、期末の在庫は費用処理の対象外とすべきです。

したがって、期末に売れ残りの在庫が残った場合はその分だけ費用を減らす仕訳を行い、在庫を資産として貸借対照表に移す作業が必要となります。翌期首になれば、資産として貸借対照表に移した在庫を再び費用として処理する仕訳を行います。

まず、期末に棚卸し(たなおろし)作業を行って在庫の数を調べ、これに在庫の評価額を掛けて在庫の総額を算出します。この金額分、費用を減少させて資産を増加させます。費用の減少には期末商品棚卸高勘定を使用し、資産の増加には商品(資産)勘定を使用します。

仮に棚卸しにより商品Aの在庫が10個存在し、商品Aを最後に仕入れた時の価格が300円だったとします。棚卸商品の評価方法を最終仕入原価法で税務署に届け出ている場合(届出をしなかった場合も同様に最終仕入原価法を選択したとみなされます)、棚卸商品の評価額は最後に仕入れた価格300円に個数10を掛けた金額(3,000円)ですので、次のように仕訳します。

借方科目 貸方科目
商品 3,000円 期末商品棚卸高 3,000円

借方で資産計上をし、貸方で費用の控除をしています。

そして、期首になると前期末に商品(資産)勘定に計上した在庫(上記の借方商品3,000円の仕訳)を再び費用として処理します。資産の減少には商品(資産)勘定を使用し、費用の増加には期首商品棚卸高勘定を使用します。

借方科目 貸方科目
期首商品棚卸高 3,000円 商品 3,000円

貸方で資産を減少させ、借方で費用を計上しています(期首商品棚卸高は期首からの繰越額を区分しているだけで、損益計算上は仕入高と同じ意味になります)。

棚卸資産の評価方法

期末商品棚卸高を計算する際、棚卸しを行って個数を調べた上で商品の評価額を掛けて算出しますが棚卸資産の評価にはいくつかの方法があります。

通常、評価方法を指定しなかった場合は最終仕入原価法となりますので、最後に仕入れた時の単価を評価額とします。

仕入れた商品を返品した場合

商品の不良等を理由に返品・返金をしてもらった場合、仕入高を逆仕訳するか仕入戻し高を計上します。

値引きを受けた場合

購入した商品に問題があった場合で返金ではなく値引きを受けた場合、仕入高を逆仕訳するか仕入値引高を計上します。

大口注文に対してリベートを受け取った場合

大口注文に対するリベートの受け取りは仕入高を逆仕訳するか仕入割戻し高を計上します。

代金支払期日前の支払いに対して割引を受けた場合

代金を早期に支払うことによって取引先からインセンティブとして割引を受けることがあります。

この割引は早期の支払いに対する利息に近い性質があるため、仕入高を逆仕訳する方法ではなく仕入割引(営業外収益)勘定を使って処理します。

仕訳例

▼2万円の商品Aを10個仕入れ、代金は全額現金で支払った。

借方科目 貸方科目
仕入高 200,000円 現金 200,000円

▼上記の事案において、期末に商品Aが2個売れ残った。棚卸資産の評価額の算出は最終仕入原価法により行う。

借方科目 貸方科目
商品 40,000円 期末商品棚卸高 40,000円

※2万円の商品が2個売れ残ったため評価額は4万円。

▼上記の事案において、翌期首の仕訳。

借方科目 貸方科目
期首商品棚卸高 40,000円 商品 40,000円

▼5万円の商品を仕入れたところ、破損していたため返品し、仕入先から現金で返金された。

借方科目 貸方科目
現金 50,000円 仕入高 50,000円

▼10万円の商品を仕入れたところ傷が付いていたため、1万円の値引きで合意し、A銀行普通預金口座に1万円が入金された。

借方科目 貸方科目
普通預金(A銀行) 100,000円 仕入高 100,000円

▼1万円の商品を100個まとめて購入し100万円を現金で支払ったところ、後日5万円のリベートを現金で受け取った。

借方科目 貸方科目
現金 50,000円 仕入高 50,000円

▼A社から商品を50万円分仕入れ、代金は掛けとした。購入日から5日以内に支払いをした場合に10%の割引を受ける旨の合意をし、購入日から4日後に45万円をB銀行普通預金口座からA社の口座に振り込んだ。

借方科目 貸方科目
買掛金
買掛金
450,000円
50,000円
普通預金(B銀行)
仕入割引
450,000円
50,000円
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