地代家賃(販管費) – 勘定科目・仕訳例

地代家賃(ちだいやちん)は、借地の地代や借家の家賃を支払った場合に計上します。事務所・テナント・倉庫の賃料や月極駐車場の利用料も含まれます。

地代家賃は最低1ヶ月以上の賃貸借契約に基づく利用料金に用いることが多いため、出張時のホテル宿泊料やコインパーキング等の有料時間貸し駐車場施設の利用料は旅費交通費(費用)勘定で処理します。

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詳細

賃料の前払費用処理と短期前払費用による例外

不動産の賃料支払は基本的に翌月分を当月末までに支払う契約が多いため、事業年度をまたいで賃料を前払いした場合は地代家賃(費用)勘定で処理するのではなく前払費用(資産)勘定で計上するのが原則です。翌期首には前払費用を逆仕訳して地代家賃(費用)勘定に振り替えます。

賃料が年払いである場合も同様に、翌事業年度の賃料の前払となる部分については前払費用(資産)で処理します。仮に12月31日までに翌年1〜12月分の1年分の賃料を前払いする場合、3月法人の場合は決算時に4〜12月分の賃料を前払費用で計上するのが原則となります。

ただし、決算をまたいだとしても翌月(年払いの場合は1年以内)にすぐ役務の提供(土地建物の貸付)を受けるわけですから、法人税基本通達の定める短期前払費用にも該当しますので、継続してこの処理を継続することを前提に決算時に翌月分賃料の前払いを前払費用に計上せず、支払った日に地代家賃に計上してもOKです。

法人税基本通達2-2-14(短期の前払費用)
前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下2-2-14において同じ。)の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。(昭55年直法2-8「七」により追加、昭61年直法2-12「二」により改正)

(注)例えば借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする。

引用元:第2款 販売費及び一般管理費等|基本通達・法人税法|国税庁

事業を行っていると様々な費用を支払うことになると思いますが、大抵は当月分の利用料金を前月末までに支払うことになっている場合が多いため、全てを前払費用で計上するのは多額の手間です。継続して処理するのであれば期間損益の計算にはほとんど影響を及ぼさないため、このような簡便な処理が認められているわけです(重要性の原則)。

短期前払費用の適用が受けられないケース

ただし条件があります。通常地代家賃は利益と対応しません(月10万円の家賃を支払うことで月20万円の収益が発生するというわけではない)。しかし、例えば月10万円でオフィスビルを賃借し、ビル内に壁を造作して区分しレンタルオフィスにして又貸しするといった場合、ビルの賃借料はレンタルオフィスの賃料と密接に関連していますので、短期前払費用には計上できなくなります。

仮にレンタルオフィスの運営を行う3月決算法人があるとします。3月末までに利用者から受け取るレンタルオフィスの4月分賃料は決算期をまたいでいますので、3月分の収益に計上せず、4月分の賃料の前受収益(流動負債)として計上して益金としての計上を翌期に持ち越すとします。

一方、レンタルオフィスに使用している事務所の3月末に支払う4月分賃料は本来前払費用(その他流動資産)に計上して損金の計上を翌期に持ち越すべきですが、これを短期前払費用に計上して3月分(当月分)の損金として計上した場合、4月分の賃料収入は翌期に計上し、4月分の賃料支出は当期に計上することになり、当期の利益を実態より少なく計算することになり、会計原則上の費用収益対応の原則に反することになります。

この処理に関しては単に会計原則に反する処理になるのみならず、通達においても注意書きにより認められておらず法人税法違反となりますので、このような場合は短期前払費用の計上は行わないよう注意して下さい。

なお、レンタルオフィスや不動産の又貸しを行う場合で、会社の事業目的にオフィス貸しの事業が含まれている場合、又貸しに用いる不動産の賃借料は売上原価に加えるほうが適切でしょう。

▼レンタルオフィス事業を営む法人が5月末に6月分のレンタルオフィスの賃料30万円をビルオーナーに支払い、かつ6月分のレンタルオフィス利用料15万円×3社分を利用者より受け取った。なお、当該法人は又貸し賃借料の計上のために不動産賃借料(売上原価)勘定を追加設定しており、賃料収入は不動産賃貸収入(営業収益)勘定を設定している。

借方科目 貸方科目
不動産賃借料
普通預金
普通預金
普通預金
300,000円
150,000円
150,000円
150,000円
普通預金
不動産賃貸収入
不動産賃貸収入
不動産賃貸収入
300,000円
150,000円
150,000円
150,000円

※売上となる不動産賃貸収入については支払者が3名いるため、支払者毎に分割して計上した上で摘要欄に支払者を記載します。

なお、法人の事業目的にレンタルオフィス運営や不動産賃貸業がなければ賃貸収入は営業外収益に記載するのが適切です。ただし法人の場合、行っている事業は登記して定款に記載するのが原則ですからできれば登記と定款を変更して上記の仕訳例を用いるのが良いでしょう。

賃料を滞納した場合

支払っていなくても期間損益を適切に算出するために役務の提供を受けた分の地代家賃は損金に計上する必要があります。

賃料を滞納した場合、事業年度をまたがなければ特に問題ありませんので、支払った時点で地代家賃を計上して構いません。

決算時点で賃料の滞納残高がある場合、未払費用(流動負債)勘定で計上し、滞納賃料を支払った時に未払費用(負債)を逆仕訳して取り崩します。

仕訳例

▼月末に翌月分の事務所賃料10万円をA銀行普通預金口座から賃貸人に振り込んだところ、振込手数料420円が口座から差し引かれた。

借方科目 貸方科目
地代家賃
支払手数料
100,000円
420円
普通預金(A銀行)
普通預金(A銀行)
100,000円
420円

▼3月25日に4月分の社宅賃料8万円をA銀行普通預金口座から振り込んだところ、振込手数料が420円かかった。なお、当社は3月決算法人(4月から翌事業年度となる)であり、短期前払費用は計上していない、

借方科目 貸方科目
前払費用
支払手数料
80,000円
420円
普通預金(A銀行)
普通預金(A銀行)
80,000円
420円

▼上記の事案において、翌期首の仕訳。

借方科目 貸方科目
地代家賃 80,000円 前払費用 80,000円

▼3月末迄に支払う必要のある4月分のテナント賃料15万円を滞納した。なお、当該法人は3月決算法人である。

借方科目 貸方科目
地代家賃 150,000円 未払費用 150,000円

※決算をまたぐ滞納賃料は未払費用を計上して未払い分も費用計上します。本来は1日でも過ぎれば未払費用を計上し、支払った時点で未払費用の取崩とするのが適切ではありますが、決算期をまたがなければ決算時までに滞納賃料を支払えば支払った時に地代家賃を計上しても特に問題はありません。

▼上記の事案において、滞納した賃料を翌々月にA銀行普通預金口座から振り込んだところ、振込手数料が420円が口座から差し引かれた。

借方科目 貸方科目
未払費用
支払手数料
80,000円
420円
普通預金(A銀行)
普通預金(A銀行)
80,000円
420円
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