長期借入金(ちょうきかりいれきん)は、返済期限が1年を超える借入金を計上します。1年以内の借入金は短期借入金(負債)勘定を使います。1年ちょうどの場合は短期借入金となります。
個人事業主の場合、事業主以外から借り入れた場合に使用します。例えば銀行などの金融機関からの借入れが該当します。事業主からの借入れは事業主借(資本)勘定を使います。
法人の場合、役員等から資金を借り入れた場合にも使用できますが、資金繰りのために一時的に役員から借入れを行う場合は短期借入金(負債)勘定で処理するのが一般的です。
目次
詳細
長期借入金のうち返済期間が1年以内となった部分の扱い
返済期限が1年以内となった場合は長期借入金から短期借入金に振替処理を行います。
返済が1年以内となった部分の計算方法
500万円を借入期間15年で借り受けたとします。
元金均等返済の場合、金利を除いて翌期の1年間に返済する金額は
500万円 ÷ 15(年) = 333,333円
となりますので、毎期末にこの額を短期借入金として長期借入金から振替処理を行う必要があります。
仕訳としては、短期借入金の額は毎期末で変わりませんので、毎月の元本返済は長期借入金を減らす処理ができます。
元利均等返済の場合、毎月の元本返済額は初回の返済が最も少なく、返済が進むにつれて支払額のうち元本部分の金額は多くなっていきますので、毎期末に翌期1年間分の元本返済額を合計して短期借入金に計上します。
毎期末に再計算を行って金額が不足する場合は差額分のみ長期借入金から短期借入金に振替処理を行います。
長期と短期の計上を間違えるとどうなるのか
なお、長期借入金と短期借入金のどちらで計上しようと決算書上の当期純利益や法人税申告書上の所得金額の計算に影響はなく、納税額に違いは生じないため、税務上は特に問題になることはありません。
ただし、本来短期借入金に計上すべきものを長期借入金に計上すると「直近1年間に返済しなければならない額」を少なく見せることができますので、経営状態(短期の資金繰り)を実態より良く見せることになるため、決算書を取引先や金融機関等に開示する際にはそのような処理は問題になる可能性があります。
したがって、決算処理を行う際には長期借入金のうち短期借入金に振替処理する必要のある額はないかな?と確認したほうが良いでしょう。
仕訳例
▼金融機関から300万円を5年後返済の契約で借入れ、利息50万円が差し引かれて普通預金口座に入金された。
借方科目 | 貸方科目 | ||
---|---|---|---|
普通預金 支払利息 |
3,000,000円 500,000円 |
長期借入金 普通預金 |
3,000,000円 500,000円 |
▼長期借入金の返済として普通預金口座から5万円(利息1万円を含む)が引き落とされた。
借方科目 | 貸方科目 | ||
---|---|---|---|
長期借入金 支払利息 |
40,000円 10,000円 |
普通預金 普通預金 |
40,000円 10,000円 |
▼銀行からの借入金300万円の返済期限が1年を切ったので短期借入金に振り替えた。
借方科目 | 貸方科目 | ||
---|---|---|---|
長期借入金 | 3,000,000円 | 短期借入金 | 3,000,000円 |
※正確には長期借入金のうち1年以内に返済期限が到来する部分のみ短期借入金として計上する必要があります。