受取手形(当座資産) – 勘定科目・仕訳例

受取手形(うけとりてがた)は、主たる営業活動において他社が振り出した手形を受け取った時に計上します。

受取手形は商品・サービスの対価や売掛金の回収など、本業に関連する代金を受け取った際に使用するものです。主たる営業活動以外、例えば固定資産の売却・金融取引などで手形を受け取った場合は営業外受取手形(資産)勘定で計上します。

スポンサーリンク

目次

詳細

受取手形で処理しないケース

自己振出手形の返還を受けた場合

自己振出手形(自社で振り出した手形)が再び自分の手元に戻ってきた場合、支払手形勘定で計上されていた債務が消滅することになりますので、支払手形(負債)勘定の減少として処理します。

自己が振り出した先日付小切手の返還を受けた場合

自ら振り出した先日付小切手は、振出日の日付(実際の振出日より遅い先日付)が未到来の場合は銀行に提示しても支払いを受けられないため、振出日の日付になるまでは支払手形勘定で計上されます。

こういった日付未到来の先日付小切手を売掛金の回収などで受け取った場合、受取手形ではなく、自己振出手形の返還を受けた場合と同様に支払手形の減少で処理します。

受け取った手形を裏書譲渡した場合

裏書譲渡(うらがきじょうと)とは、受取手形・営業外受取手形の裏面に裏書(署名)した上で譲渡することです。

裏書譲渡の譲受人(被裏書人)は手形の期日に振出人から支払いを受けることができますが、振出人が支払いできなかった場合は譲受人(裏書人)は遡及義務(そきゅうぎむ)を負います。つまり、振出人に代わって支払いをしないといけません

受取手形・営業外受取手形を裏書譲渡した場合、手形資産を売却したと考えるので受取手形・営業外受取手形勘定の減少として処理します(直接原価法)。

受け取った手形を割引した場合

手形割引(てがたわりびき)とは、手形の支払期日(満期日)が到来していない状態で現金化するために金融機関等に手形を買い取ってもらうことを指します。

この場合、仮に満期日が1ヶ月後で額面が100万円の手形の場合、そのような手形を1ヶ月前にわざわざ額面と同額の100万円で買い取ることは一般的ではありません。その1ヶ月間に金利が付きませんし、支払人が不渡りを起こして支払いを受けられなくなる可能性があるからです。したがって、手形を割り引く際は額面満額で現金化されるわけではなく、割引手数料が差し引かれます。単に割引ということもあります。100万円の手形の場合、仮に2%割り引くとすると、98万円で手形を現金化することになります。

手形割引も裏書譲渡の一種ですが、期日までの利息相当額や手数料を差し引いて譲渡する点が異なります。

手形を割引した場合も裏書譲渡と同様に受取手形勘定の減少として処理します(直接原価法)。

手形が不渡りとなった場合

不渡り(ふわたり)とは、満期日に手形を銀行に持ち込んでも手形の振出人が決済に必要な預金を当座預金に預け入れてないために決済ができなくなることです。2回不渡りが発生すると銀行取引停止処分となります。こうなると銀行から融資を受けたり当座預金口座で手形取引をすることができなくなるため、取引先からの信用もなくなり、そのまま倒産することが多かったため、「2回不渡りを出したら倒産」というイメージを持つ方が多いと思います。実際には正式に破産手続きがなされてはじめて倒産したと言えるでしょう。

不渡りが発生した受取手形は通常の受取手形より回収が困難となりますので、別管理するために不渡手形(資産)勘定に振り替えます。

手形を裏書譲渡または割引した後、裏書譲渡または割引した手形が不渡りとなった場合、遡及義務により振出人に代わって支払わないといけません。

具体的には裏書譲渡・割引した不渡手形を額面で買い戻すことになります。買い戻した手形は不渡手形勘定として計上します。

仕訳例

▼商品を30万円で販売し、代金を手形で受け取った。

借方科目 貸方科目
受取手形 300,000円 売上高 300,000円

▼上記の事案において、受取手形の満期日が到来し取り立てた現金をA銀行の当座預金口座に預け入れた。

借方科目 貸方科目
当座預金(A銀行) 300,000円 受取手形 300,000円

▼商品を20万円分仕入れ、額面20万円の受取手形を同額で裏書譲渡して支払った。

借方科目 貸方科目
仕入高 200,000円 受取手形 200,000円

▼資金繰りが悪化したため、額面20万円の受取手形を銀行で割引いた。割引の際に割引手数料4万円(手形売却損)が差し引かれ、残りは現金で受領した。

借方科目 貸方科目
手形売却損
現金
40,000円
160,000円
受取手形
受取手形
40,000円
160,000円

▼額面30万円の受取手形が不渡りになった。

借方科目 貸方科目
不渡手形 300,000円 受取手形 300,000円

▼以前裏書譲渡した額面10万円の手形が不渡りとなったため、裏書した手形の譲受人から不渡手形を額面にて現金で買い取った。

借方科目 貸方科目
不渡手形 100,000円 現金 100,000円

▼以前銀行で割引いた額面10万円の手形が不渡りとなったため、小切手10万円を振り出して手形を買い戻した。

借方科目 貸方科目
不渡手形 100,000円 当座預金 100,000円
スポンサーリンク

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です