前渡金(その他流動資産) – 勘定科目・仕訳例

前渡金(まえわたしきん)は、商品やサービスを受け入れる前に代金の一部を前払いした金額を計上します。

雑誌等の定期購読や事務所の賃料など毎月継続してサービスの提供を受ける契約において代金を前払いした場合は前払費用(資産)で計上します。支払い用途や金額が未確定な状態で概算払いする場合は仮払金(資産)勘定を使います。

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目次

詳細

前渡金となるもの

次のような代金が前渡金となります。

  • 手付金(不動産売買契約に伴う解約手付等)
  • 着手金(事務所や店舗などの内装工事を発注した場合の工事着手金等)
  • 前金(まえきん)
  • 内金(うちきん)
  • 予約金

その他、代金の前払いとなるもので前払費用や仮払金とならないものが前渡金となります。

建物や工作物の建築費・機械の制作費の扱い

不動産を購入する際に支払う手付金や中間金も前渡金で処理しますが、建物を建築(新築)する場合の手付金・内金は建設仮勘定(資産)で計上します。

「建設仮」という勘定ではなく「建設仮勘定」という名称の勘定科目です。

看板・塀・道路などの構築物の建設機械・装置の制作の代金の前払いも、建設仮勘定で計上します。

仕訳例

▼販売目的で20万円の商品を発注し、前金として5万円を現金で支払った。

借方科目 貸方科目
前渡金 50,000円 現金 50,000円

▼上記の事案において、商品が納品されたため、残金15万円をA銀行普通預金口座から振り込んだ。

借方科目 貸方科目
仕入高
仕入高
150,000円
50,000円
普通預金(A銀行)
前渡金
150,000円
50,000円

※残金とともに前渡金として計上していた前金も仕入高に振り替えます。

▼工務店に自社で所有する賃貸物件の300万円の内装工事(設備工事70万円を含む)を発注し、工事着手金80万円をA銀行普通預金口座から振り込んだ。

借方科目 貸方科目
前渡金 80万円 普通預金(A銀行) 80万円

▼上記の事案において、工期の半ばを過ぎた頃に中間金50万円をA銀行普通預金口座から振り込んだ。

借方科目 貸方科目
前渡金 50万円 普通預金(A銀行) 50万円

▼上記の事案において、工事が完了したため残金170万円をA銀行普通預金口座から振り込んだ。

借方科目 貸方科目
前渡金
建物
建物附属設備
170万円
230万円
70万円
普通預金(A銀行)
前渡金
前渡金
170万円
230万円
70万円

※まず全額を前渡金として計上し、次に前渡金を各内訳毎に振り替えて計上します。建物の価値を高めるような内装工事は資本的支出となりますので建物として計上し、建物内の設備工事は建物とは耐用年数が異なるため建物附属設備として建物とは分けて計上する必要があります。

▼不動産(土地1000万、建物2000万)の売買契約を締結し、手付金300万円を現金で支払った。

借方科目 貸方科目
前渡金 300万円 現金 300万円

▼上記の事案において、後日銀行にて残代金決済と引き渡しを行い、残金2700万円をA銀行普通預金口座から振り込んだ。

借方科目 貸方科目
前渡金
土地
建物
2,700万円
1,000万円
2,000万円
普通預金(A銀行)
前渡金
前渡金
2,700万円
1,000万円
2,000万円

※一旦代金全額を前渡金に計上した上で各科目に割り振っていきます。

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